我らのガボン日記 ー臨床検査技師編ー

青年海外協力隊としてガボンで輸血医療向上を目指す臨床検査技師の日記

途上国の医師が教えてくれた現実

毎週連続更新ならず。

wifiの調子が悪かった、ということにしましょう。

半分本当。

 

 

 

先日、寂しい出来事があったので、

驚いたことシリーズではなく、

その人とのことについて書きます。

 

 

 

1つ歳上の

小柄で、

歩く姿勢が綺麗で、

少々せっかちな医者Johnが、

国立輸血センターを去りました。

 

 

1番仲良しだったJohn。

 

 

私の拙いフランス語を一生懸命聞いてくれて、

発音と文法を直してくれて、

いっぱい話すようにといつも「なんで?」と質問してくれて、

どうにもならないと英語で話してくれ、

おばちゃんたちに捕まって困ってたら連れ出してくれ、

迷惑な男の対処法を教えてくれ、

白衣のボタンを閉め忘れてたら閉めてくれ、

異国で生活する私を気遣ってくれたJohn。

 

 

いつか、言葉が違う国の人が自分の近くで過ごす日が来たら、

彼のように私も相手を気遣ってあげたい。

そう教えてくれた人でした。

 

 

 

 

今回は、そんな彼と話した印象に残る話をします。

 

 

 

 

彼とはよく、互いの国の「医療」についてよく話しました。

 

 

白血病って多いの?どのタイプ?治療は?」

「移植ってしてるの?」

「大動脈解離ってある?手術は?」

「透析は?どのくらいの頻度?」

 

 

輸血が必要な病気について質問し続けた私。

 

 

丁寧に答えてくれるジョン。

 

 

ひと通り質問して満足した私に彼が言いました。

 

 

 

 

病気の種類も症状も、

日本とガボンでは変わらないんだよ。

 

世界中、みんな同じ。

違うのは、できる治療法だけ。

 

 

 

 

返す言葉が見つかりませんでした。

 

 

 

 

高い薬は買えない。

高い治療費は払えない。

心臓の手術はこの国では出来ない。

移植したくてもそれが出来る医師がいない。

十分な医療機材もない。

 

 

それは分かってはいたけれども 、

いざ目の前で、

途上国の医師が話してくれた現実は、

今までのどの言葉よりも、

重く深く、

少々痛く心に突き刺さりました。

 

 

 

生きている場所が違う、

ただそれだけの違いで、

生きられる時間も違ってしまう。

 

 

 

これが現実。

 

 

 

そしてこの現実を受け入れているこの国の人々。

 

 

 

それも現実。

 

 

 

 

 

ガボンに来てもう少しで4ヶ月。

 

 

見えてきた理想と現実。

 

 

この国の医療は変えられない。

 

 

でもこの不平等な現実を少しだけでも平等に近づけるきっかけはつくれるかもしれない。

 

 

というより、つくってみせる。

 

 

そう思わせてくれた、仲良しDr.Johnとのお話でした。

 

 

ありがとうJohn。また会おうね。