我らのガボン日記 ー臨床検査技師編ー

青年海外協力隊としてガボンで輸血医療向上を目指す臨床検査技師の日記

未来はみんなでつくるもの

急遽決まった帰国により、輸血センターで過ごした最後の2日間について書くつもりでしたが、その前にどうしてもこれは載せたいと思ったので、まずはこちらの方を今回は載せます。

この記事は自宅待機指示が出る3日前に書いていたもので、仕上げてアップしようとしていたときに帰国が決まって忙しさで更新できていなかった文です。

時系列がおかしくなりますが、最後の2日間を書く上でやはりこの出来事は紹介しておきたいと思い、この数日後に起きた緊急帰国のことも頭に入れながらぜひ読んでいただきたいと思います。

 

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※ 2020年3月14日記載

 

 

ここ数週間、運動会や旅行で輸血センターを不在にしていました。

 

私はこの不在期間を現状評価期間として重要視しています。

私が一緒にやると出来ることや、私がいるから他の人がやらないことなど、私の存在が彼らのレベルアップを妨げていると感じることがあるからです。

 

だからこそ、たまに数日間から数週間、私が居ない期間をつくることは彼らの真のレベルと技術定着具合、独自の改善能力とやる気をはかる絶好の機会だと思っています。

 

そして今回、ウガンダの方へ旅行していましたがガボンへの入国が危ぶまれる事態が発生し想定外の滞在延長となり、輸血センターを12日間不在にすることになりました。

 

幸か不幸か、その間に輸血センター恒例の大幅な人事異動が行われ、私のメインの活動場所の製造部門も人事異動が行われました。

 

製剤を作れる技師が異動、部門長も変わる、

これは私の帰国後に起こりうる状況であり現状評価には絶好の機会を迎えました。

 

そして迎えた久々の活動

 

内心、期待はあまりしていませんでした。

 

では一つずつ見ていきます。

 

 

① 血小板製剤

 

前回話した血小板製剤。製造方法が複雑なので、技術定着が難しいものです。

しかも製剤を上手く作れる技師は移動済み。

 

ドキドキで製剤を見てみると、

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出来てるー!!!!!!!

 

ニコニコしながら製剤を見ていると、周りの技師さんが「良い感じでしょ?メイから沢山学んだからね」

と言ってくれました。

 

泣きそうになりました。

 

もう、彼らは私が居なくても大丈夫。

 

そう確信しました。

 

 

② 整理整頓

 

もともと5Sが出来ている施設ですが、さらにパワーアップしていました。

 

機械が投げられていた部屋が、

 

Before

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After

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テトリスの如く上手く積み上げられています(笑)

 

今後はこの部屋が感染性廃棄物の置き場にするそうです。

 

良い感じです。

 

 

③ 採血部門

 

ここにも変化が!

 

採血の椅子の横に置くテーブルの上にお盆が!

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採血管や絆創膏などが転がりがちがったので、このお盆に置けば問題解決です。

 

こういうの置けたらいいなって思っていたことを、彼ら自身が実行しました。

 

大感動。

 

 

④ 掲示

 

数か月前から私が始めた掲示

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献血後にカフェに行くように場所を示したもの)

 

献血者への案内用にあえてカフェテリアのみを作って貼っていました。

 

残りの部屋に対する案内は自分たちで作って貼ってという願いで他の物は私は作りませんでした。

 

そしてついに、

 

これでもかー!とばかりに掲示物は増えていました。

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これで迷子になる献血者は減るはずです。

 

 

もうひとつ、

 

採血の部屋には

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(一番下の貼り紙に注目!!!!)

 

正しい消毒方法を説明する張り紙が!

 

私の採血講習会の内容をアレンジして作ってくれたようです。

 

大感動

 

 

⑤ 手指衛生

以前からセンターが強化していた献血者とセンター訪問者の手洗い。

 

これが、新型コロナの影響でパワーアップしていました。

 

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自動でアルコール剤が出てくるやつ。

 

そして「手洗いしてね」を伝える張り紙

 

驚きです。

 

 

たった2週間足らずで、こんなにも変わるとは。

 

技術の定着もOK、そのレベルもOK、改善にむけた意識と実際の行動もOK

           

想像をはるかに超える結果になっていました。

 

 

私が居なくなっても、みんながいればこの輸血センターは改善が続く。

未来はみんなが作っていく。

そう感じ、確信した結果となりました。

 

 

そして個人的に嬉しいのは、

久しぶりに会ったセンターの人たちが、私を見た瞬間に「メーーーーイ」と笑顔で喜んでくれる瞬間です。

良い人たちと職場に恵まれました。

 

 

残りの4ヶ月、そんな彼らとラストスパートの活動をしていきます。

 

 

ちなみに私の忘れん坊カウンターパートは、見事に私がお願いした仕事とそもそも私がどこに旅行に行っていたのかも忘れていました。色んな意味で期待を裏切らない人です。

 

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あの時私はこれを書きながら、7月の任期満了の事を考えていました。

日本でこの記事を更新することなど1ミリも考えていませんでした。

 

でも、この不在の期間があって、彼らの能力を知れたから、最後の2日間はより有意義に効率よく活動が出来た気がします。

そして何より、彼らを信じながら輸血センターを去ることができました。

 

次回は、最後の2日間を載せます。