我らのガボン日記 ー臨床検査技師編ー

青年海外協力隊としてガボンで輸血医療向上を目指す臨床検査技師の日記

ガボンの献血

青森県の大先輩OV隊員が楽しみにしてくれているとFacebookで紹介していただいたので、再びやる気が溢れ始めました。

定期的にやる気を注入してくださる皆さんに感謝メルシーです。

 

今日はガボン献血についてお話します。

 

その前に、日本の献血について触れますね。

 

現在、日本では献血事業は日本赤十字社が行っています。

献血はすべて献血者の善意により成り立っています。

しかし、昔は売血(血を提供してお金を得る)制度でした。お金を得るために病気の人が血液を提供するようになり、肝炎などで肝臓が悪い人は血液(血漿・血清)が黄色~茶色に変わるので彼らの血は「黄色い血」と言われていました。

この時代に輸血を受けてB型肝炎C型肝炎HIVなどに感染してしまった患者さんは大勢います。

そして1964年、駐日アメリカ大使刺傷事件が起きた際の輸血で大使が肝炎を発症して事態は変わり始め、現在のような献血100%体制になりました。

 

今までに献血をしたことがあるよ!って方はイメージしやすいと思いますが、

最近の献血ルームはカフェのようにお洒落で快適ですよね?

赤十字社献血者を獲得するために、いろいろな取り組みをしてサービスを向上し続けています。

お菓子&ジュース食べ放題、いろいろな物を貰える、血液検査の結果を知れる、などなど特典があるから献血に行こうっていう人も多いと思います。

赤十字社の努力の賜物だと思います。

でも、すべての献血者に共通しているのは困っている人を助けたいという善意の気持ちだと思います。(っえ、そうですよね!?)

 

 

では、ガボンはどうでしょう。

 

 

献血」=「donner du sang」

フランス語ではこう言います。

 

そしてガボンのdonner du sangには、2つの種類あります。

 

「Bénévole」と「Familial」

 

Bénévolは善意、慈善による提供で日本での献血と同じ感覚です。

では、Familialは何…??ですよね

 

ガボンには「輸血製剤1バッグにつき、ドナーを2人連れてくる」という制度があります。

この制度により血液を提供することをFamilialといいます。

 

つまり、言ってしまえば半強制的な献血です。

 

1バッグ・ドナー2人制度は法律で決まっているわけではないので、

連れて来ないから輸血を受けられないということはありません。

 

でも、血液製剤を受けとるときに、

「ドナーを連れてきなさい」

複数回輸血を受けている人には、

「あなたはまだ何人分のドナーが足りてない」

「知り合いに電話して今すぐ来てもらいなさい」

などなど、センターの担当者に相当厳しく言われます。

そして「マイナス〇〇(不足ドナー数)」が赤字ではっきり用紙に書かれてしまいます。

泣きそうな顔を見せる家族、激怒する家族、言われ慣れているのか無の表情の家族、様々です。

 

こうでもしないとドナーが来ないのが現状です。

 

 

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献血をしに来た人たちに受付の人が毎回「Bénévol」か「Familial」を聞いて、日本の「正」のように̻□と\の棒線で数をカウントしていきます。

分かりにくい写真ですみません(笑)

 

ガボン国立輸血センターのBénévolの割合は約40%です。

ロッココートジボワールでは80~90%がBénévolらしいので、圧倒的に少ないことが分かりますよね。

 

先にも述べたように、「1バッグ・ドナー2人」の制度は強制ではないため、

ドナーを連れてこない・連れて来られない人も大勢います。

これにより、需要と供給のバランスは崩れまくり。

常に血液製剤の在庫は不足しています。

製剤がないから輸血は出来ないという事態をもう何度も目にしました。

 

日本ではありえない事態です。

 

Bénévolが多ければこんな事態にはなりません。

 

ということで、私の活動のひとつに「Bénévolを増やす取り組みを実施する」を加えました。

FamilialからのリピーターBénévolの増加、新規Bénévolの獲得増加を目指していきます。

 

こんなことやったら増えるんじゃない?という意見募集しますので何かありましたらコメントください~

 

では、また来週!