我らのガボン日記 ー臨床検査技師編ー

青年海外協力隊としてガボンで輸血医療向上を目指す臨床検査技師の日記

ガボン国立輸血センター② -献血part2-

前回に引き続き、献血部門についてです。

 

⑤ 採血

 

医師の問診でOKを貰うと、いよいよ採血です。

 

採血の部屋の様子はこんな感じです

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(最近椅子が新しくなりました)

 

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(ありがとうドナーさん!)

 

採血は全血のみで、量は最大で450ml(日本は400ml)。

日本のような成分採血はありません。

 

ちなみに使っている採血のバッグは「TERUMO」!

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(写真はトリプルタイプのバッグ)

 

日本が誇るテルモさんのバッグ!

だったですが、つい最近、 予算の問題で安い中国企業のバッグになりました。 質が悪くて全員から不評です。

やはりテルモさん、凄いです。Made in Japan最高です。

 

ちなみに、予算の問題でトリプルがダブルになったり、最悪な時はシングルになります。

31アイスのことじゃないですよ。なんのこっちゃ分からない方が多いと思うので、製造部門の時にお話します。

 

ここの看護師さんたちは採血のプロなので、 ほぼ失敗することなくズバズバと血を抜いていきます。 ほんとに上手です。

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ですが、問題点も多々あります。医療者向けに細かく書きます。

【採血の問題点】

・消毒手技が不十分。(消毒の後に触ってしまうとか)

・アルコール濃度が高濃度すぎる(97%)

・採血バッグの使い方が違う( 初流血除去バッグの血液を本採血バッグに流しいれる)

・血液と抗凝固剤をきちんと混和しない

・途中で採血が止まったら、その同じ針でもう片方の腕から続けて採血

・ドナーの観察が不十分で採血量が450mlをオーバー

・迷走神経反射をおこすドナーが多め(考えられる理由: ご飯を食べていない。針を根元まで刺しすぎ。 観察しないから変化に気づけない。 隣で採血されているドナーの距離が近く四方八方に血が視野に入り 、血が苦手は人には地獄など)

・迷走神経反射をおこしても、椅子を倒せないので頭を低く、 脚は高い位置にできない

・全般的に看護師が不親切

大体こういう感じです。

 

看護師が悪いというのではなく、 ただ単純に正しい知識や技術の情報がこのセンター、 この国にはないということの問題なのです。

ないのであれば、不足している部分の正しい知識を補い、 ズレている部分は修正すればいい。 能力は高い看護師さんたちなので、伸びしろしかありません!

ということで、私の活動のひとつに「採血部門の改善」 を入れています。そして、今まさにその改善活動の真っ最中です。 その詳細と成果は後日お話します。

 

 

⑥ カフェ(軽食)

 

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献血を終えたドナーさんには、 感謝の意味を込めてサンドイッチとジュース1杯の軽食を用意して います。

 

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(だいたいいつもフランスパンだけど、この日は食パンタイプのサンドイッチ)

 

でもこの軽食、 パンや中身のハムなどがしょっちゅう在庫尽きてしまい、 ジュースのみのときが頻発しています。

在庫管理の甘さには頭を抱えます。

 

ドナーの中には、「自分は血液をあげたのに、 たったこれだけ?」と文句をいう人も大勢います。

イラっとするときもありますが、ごもっともな意見でもあるので、 サービス改善のための参考意見にしています。

 

輸血センターに来た当初から、 このカフェはリピーターの献血者を増やす絶好の場所だと思ってい ました。

同じくセンター長もここのサービスの質の向上は必須だと思ってい たようなので、私も意見を出しつつ、 少しずつ改善が始まってきています。

 

現段階までの改善内容を上げると、

① 衛生管理

 以前は自由にアリが歩き回るテーブルで、 サンドイッチを手も洗わずに素手で調理しているような状況でした 。サンドイッチも前日に残ったものを出すときもあり、 食中毒発生の危険性があったので、衛生管理の改善を指示し、 現在は頻回の掃除と、手袋着用での調理、 提供するのは当日調理品のみになっています。

 

② テレビ

 このカフェのテレビで流れているのはいつもキリスト教の番組でし た。聖書の読解番組をひたすら流されても、「ん~」 という感じです。ガボンにはイスラム教徒が3割ほどいるので、 少々配慮が欠けていると感じ、番組の切り替えを提案。 せっかくだから、 センターのプロモーションビデオみたいなやつを流せばどうかと軽く提案したら、実現しました(笑)。

ガボンのコメディアンとセンターの職員で作ったそうです。 ちなみに私の血小板作製の相棒技師イスマエルが医者役で出演して います。

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(テレビに映ってるのがプロモーションビデオ)

 

③ サンドイッチの内容

以前はサンドイッチの中身がハムで、 イスラム教徒は食べられない中身でした。これを指摘したら、 中身の種類が増え、 イスラム教徒でも食べられるようになりました。というか、 施設長イスラム教徒だから私より先に気付いてよとツッコミたくなります(笑)。

 

今後も帰国まで、このカフェでは継続的に少しずつ活動を進めていく予定で す。

 

 

 

という感じで前回の受付からこのカフェまでが献血部門の一連の流れになっています。

 

細かい部分は違っても、大体の流れは日本の献血と一緒ですよね。

日本の献血システムとアイデアに、ガボン流のアレンジを加えて質を上げていくのが私の活動です。

 

ちなみに、献血は土日も含めて毎日しており、2交代制で朝8時~ 夜の20時まで実施しています。

以前は土日は休み、平日は18時までの採血でしたが、 施設長の一言で現在の体制になりました。 施設長の権限は果てしないです。

 

ということで、献血部門の紹介でした!

次回は採血された血液が検査される、検査部門をご紹介します。

 

ではまた〜