我らのガボン日記 ー臨床検査技師編ー

青年海外協力隊としてガボンで輸血医療向上を目指す臨床検査技師の日記

ガボン国立輸血センター⑥-製造部門part2-

2020年、あけましておめでとうございます。


f:id:maaaai0519:20200121035659j:image
(ガボンの初日の出)

 

ガボンに正月はないので、1月1日だけ休んで2日から普通に働きました。

センター内ではHappy new yearの意味の「Bonne année」が飛び交い、賑やかな雰囲気が1週間くらい続きました。

そんな賑やかな様子と裏腹にセンター恒例の「突然の人事異動」が行われ、ことごとく私と仲のいい人たちが解雇されました。

一緒に仕事を進めていた人も解雇されたので喪失感が半端なく、ガボンに失望する年明けとなりました。

ちなみに、人事に関する問題は他の隊員も苦労しています。日本なら訴訟レベルの人事が、ここでは普通に行われていることに毎回衝撃を受けてしまいます。

 

 

 

さて、今回は私の主な活動領域である製造部門で作っている赤血球製剤についてお話します。いつもより長いです。

 

 

 

そもそも赤血球製剤とはなにかというと、文字通り「赤血球」が多く含まれている製剤のことで、ざっくりいうと貧血を改善させるためのものです。

ドラマで良く見る赤い製剤です。

日本赤十字社の製剤はRed Blood Cellの頭文字をとって「RBC」と言われます。

日本ではいくつか種類があり、200mlの献血で出来るものがRBCの1単位、400mlの献血で出来るものがRBCの2単位と分けられています。

さらに放射線照射をしている製材であれば、「Ir」というIrradiated(放射線照射された)という単語も組み合わせて表示されます。

つまり、放射線照射された赤血球製剤の2単位ならば、「Ir-RBC-LR2」(LRはLeucocyte Reduced、白血球が除去されたという意味)と言われます。

 

しっかりしている医療ドラマでは、「RBC6単位用意して」などとしっかり単位数まで言うので、少々感動します。コードブルーとコウノドリ、最高。

 

 

 

さて、ガボンの赤血球製剤はどんな感じかというと…

まずは外見

f:id:maaaai0519:20200119223213j:image

こんな感じです。

 

量はバッグの重さを含めて250~400g(バッグは約30g)。以前話した通り、看護師の採血量が一定でないので製剤の重さもバラバラです。

 

 

 

では、この製剤がどうやって作られているか、少々の覚悟を持って読み進めてください。

 

 

 

まず、採血した血液(全血)からどうやって赤血球を分けているのかという説明をしておきます。

 

血液の中には赤血球などの血球の他にも、血漿という黄色い液体の成分があります。そしてそれぞれの成分に重さ(比重)があって、遠心分離という高速で回転させる方法で、重い血球は下へ、軽い血漿は上にという方に分けていきます。

f:id:maaaai0519:20200121041727j:image

 (遠心が強いと血小板や白血球は下の赤血球層に入り込み、逆に弱いと赤血球が血漿の層に混ざり込む、などなど遠心条件で状態が変わります)

 

血液製剤を作るときは、この原理を上手く利用して血漿を別のバッグに移して分けていきます。

 f:id:maaaai0519:20200119222328j:image

(上部にある血漿(黄色い成分)を圧力で他のバッグに移している様子)

 

 

ここガボンでの作り方には、大きく分けると2つの方法に分けられます。

 

1つめは、「遠心して分離させる方法」

先程説明したように、遠心をして分ける方法で、一般的には最もスタンダードな方法です。日本もこの方法で作っています。

赤血球製剤のみ、赤血球製剤+血小板製剤、赤血球製剤+血漿製剤の3パターンにより作られています。ちなみにこの「赤血球のみ」という方法は私が提案して始めました(後半でまた出てくるので覚えといてください)。

 

2つめは、「一晩おいて自然沈下させる方法」

採血したバッグを一晩冷蔵庫に入れておいて、自然に血球と血漿を分離させて翌朝血漿を分離させる方法です。

f:id:maaaai0519:20200119222516j:image

(一晩置いたので、黄色い成分と赤い成分が分かれています)

 

f:id:maaaai0519:20200119223156j:image

(一晩置く冷蔵庫。これは、スーパーにあるドリンクとかを入れる冷蔵庫!!!!)

 f:id:maaaai0519:20200119223242j:image

(霜が、すごい)

 

医療関係者のみなさん、「えーーーー!血液専用じゃない冷蔵庫!しかも遠心しない?」と驚きですよね。

輸血製剤は温度管理がとても厳しく、日本では血液専用の冷蔵庫で保管する必要があるのですが、ここガボンではそんな贅沢なことは言ってられません。買えないものは買えないのです。

遠心しないのもかなり衝撃ですが、これがガボンではスタンダードな方法です。特に地方では、遠心機がないのでこれしか方法がありません。

 

この一晩置いた血液から、血漿を分離させて赤血球製剤を作ります。

でもやはり自然沈下では、綺麗に分かれないので、血漿が混ざってしまいます。

f:id:maaaai0519:20200119223451j:image

ほぼ全血じゃん…

 

そもそも、なぜ遠心しないかというと、

・遠心すると白血球も多く含まれてしまう(遠心条件を調節するという考えがそもそもない)

・遠心するのが面倒

・時間がかかる

・疲れる

・昔からそうしているから

・遠心機が足りない(現在1台)

 

良い製剤のために労力と時間を費やすという考えはほぼありませんでした。(←過去形に注目!)

 

 

次に説明するのは、製剤を作るのに欠かせない採血バッグの種類についてです。

前回少し言及しましたがセンターでは3つのタイプのバッグを使用しています。

 

①トリプルバッグ

f:id:maaaai0519:20200119223202j:image

3つのバッグが繋がっているタイプです。ガボンで扱っているもので一番いい種類です。

お金があるときはこれを使用しています。

 

②ダブルバッグ

f:id:maaaai0519:20200121035900j:image

2つのバッグが繋がっているタイプです。ちょっと予算が厳しいときに使っています。

 

③シングルバッグ

f:id:maaaai0519:20200121043706p:plain

バッグが一つのみのタイプです。最悪です。お金が無いときにこれを使用します。写真のバッグはカメルーン産です。カメルーンのこの頑張りはガボンには無いもので偉いし尊敬しますが、質が...最悪...。

 

このように、バッグのタイプでセンターのお金事情が分かるという仕組みになっています。(笑)

ちなみにシングルになるときは大抵、センター外観の改装工事をしています。

 

 

輸血製剤は閉鎖回路(一度も外の空気に触れないこと)で作るのがスタンダードです。よってトリプルやダブルでは、繋がっているバッグに移せばいいので一度も空気に触れずに赤血球製剤を作ることができます。

 

ではシングルバッグはどうか…

 

覚悟あれ。(血が苦手な人は見ない方がいいです)

 

f:id:maaaai0519:20200119221549j:image

 

チューブをはさみで切り、不要な分の血液を水道ヘ流しています。

 

初めて見たときは言葉を失い、鳥肌が立ちました。

閉鎖回路を見事に逸脱、はさみは使いまわし、血液は飛び散る、作業台は血だらけ、そして水道の血液は一体この後どう処理されているのか…

 

私もこの恐怖の作業に加わるのですが(周りの技師さんの配慮で私は一番危険な作業からは外れています)、血が白衣に飛び散って緊張状態が続くので、疲労度がとてつもないです。この国の感染症陽性率も考えると、精神の消耗も激しいです。

 

ちなみに地方では、はさみで切って水道ヘ流すこの方法で作っています。

 

 

これが、アフリカの輸血です。

 

 

そして、医療関係者の方はお気づきになった方も多いと思います。

「白血球は…?」

そうです、白血球除去は行っていません。

1年ほど前に「もうそろそろ除去フィルター付きのバッグになるよ」と言っていましたが、まだなっていません。

「もうそろそろ」の定義を教えてほしいくらいですが、金銭的な問題から恐らくこれからもずっと無理だと思います。

 

なぜ白血球が危険なのか、こちらをどうぞ👇

輸血後GVHD|非溶血性副作用|輸血の副作用|医薬品情報|日本赤十字社

 

このセンターには放射線照射装置はないので、全ての製剤は白血球入りの製剤になります。白血球は患者に危険だということはもちろん輸血センターの医師や検査技師は知っています。でもどうしようもありません。

 

輸血後GVHDの頻度を知りたいと思い、質問したのですが頻度は分かりませんでした。

なぜでしょう。

それは、この国の医療レベルがそこまで追いついていないからです。「輸血後に患者さんが何か変な容体になった」となってもそれが「輸血が原因」「これはGVHDだ」とはなりません。患者に適合する血液型の選択すら怪しい医師が多いので、GVHDが頭にない医師も大勢いるはずです。もし、これはひょっとして…と気づいたとしても、避けることが出来なかった病気、神が選んだことだからとして受け入れてしまいます。それが、この国の医療の現実です。

 

放射線照射装置があればいいのにと思うときもありましたが、この国(途上国全般)では、ない方が安全だと今は思います。機械の定期メンテナンスが出来ない国においては、放射線を扱う装置はあまりにも危険すぎるからです。なんだか機械の調子がおかしいからと無理やり開いて中身をいじってみる人たち、使えなくなったからと無造作に機械を投げ捨てる(本当に投げます)人たちには、放射線照射装置は殺人的です。昔インドで、売られた放射線照射装置を解体した業者が被ばくして死亡する事件がありましたが、なぜそうなったのか今なら容易に状況が理解できます。

 

10年近くも前ですがとても記憶に残っている事件👇

www.afpbb.com

 

f:id:maaaai0519:20200119223151j:image

 (センター内の故障した機械を投げる部屋、ここに入るたびに悲しくなります。)

 

こういった状況を踏まえ、遠心の条件を工夫することで赤血球製剤に入っている白血球の数を少なくする製剤を作り始めました。前半で述べた「赤血球製剤のみ」はこのことです。完全に除去することは不可能だけど、数は減らしたいという思いで作り始めました。

効果はあるのか不明ですが、技師たちの間ではかなり高評価をしている製剤です。

 

こういった工夫や、血小板製剤の大幅改良など、私が1年近くこの製造部門に加入し活動を始めたことにより、少しずつ技師たちの意識が変わり始めています。

ガボンでもやれば改善できるという前向きな気持ちが生まれ、どうやれば改良できるという方法を自分たちで考えるようになってきたのです。

そして、一緒に良い製剤をつくって実物を見ることで、「良いもの」と「悪いもの」が経験的に身につき始め、悪いものを減らそうという意識が生まれ始めています。

これにより「一晩おいて自然沈下させる製剤」は良い品質ではないという認識が生まれ、なるべく遠心して作るようになっています。

大きな変化です。 

 

今まで遠心の条件(回転数や時間などの設定)や温度など、深く考えることがなかった技師たちが、「この条件にすれば綺麗に分離できる」や「この温度は血球には良くない」など自然と話し合いが起きるようになって、工夫する姿勢がみられるようになったのはとても嬉しく、感動してしまいます。しかも、技師たちがよく働くようになりました。これはとてつもない大変化です。

 

「技術改良を通して、人を成長させている」

 

最近それをよく感じます。

 

そしてきっと、彼らと一緒にいることで私も成長させてもらっている、そんな気がします。

製造部門の人たちと一緒に働いていると、ガボンに来た意味があったと感じます。

 

 

シングルバッグで地獄絵図の日々なると無性に日本に帰りたくなりますけどね(笑)

 

 

以上、長くなりましたが「赤血球製剤」についてでした。

 

 

同期ブログが更新されました!今回は、亀を探す話です👇

gabonjocv2018.hatenablog.com

 

 

2019年の終わり

2019年、あっという間でした。

 

振り返ると、主に血小板ばかり作っていた1年でした(笑)

おかげで世界中の日本人で誰よりも上手に全血から血小板製剤を作製する自信があるほどに成長しました。いやむしろ、世界でTOP3に入るくらいに上手く作れる自信があります。

特技:血小板製剤作製

履歴書に書けると思います。

 

こんな感じで主に輸血の事ばかりを考えていますが、ガボンで輸血医療に関わるのも残り6ヶ月となりました。

 

どこまでできるか、何を残せるか

 

泣いても笑っても怒っても、最後の半年です。

 

その半年が終わったら日本での生活も始まります(ネギトロ食べたい)。

 

まだ見ぬ2020年、楽しみです。

 

同期ブログを書きました👇 ご覧ください

gabonjocv2018.hatenablog.com

 

ということで、2019年もたくさんの応援ありがとうございました。

来年もどうぞよろしくお願いします。

 

 

ランバレネでの1枚

 

 

 

 

ガボン国立輸血センター⑤-製造部門part1-

今回からは私の主な活動領域である製造部門についてお話します。

 

 

それはそれは多くの時間をここで費やしていて、一番詳しい部門なので複数回にわたって書いていきます。

 

 

今回は、設備や勤務体制などを説明します。

 

--- 今後の予定 ---

①(今回) 設備

② 赤血球製剤

③ 血小板製剤

④ 凍結血漿、クリオ

⑤ 製造されたあとの作業などなど

 

ではいきましょう!

 

f:id:maaaai0519:20191216055836j:image

 

ここが製造部門(Production)です

 

f:id:maaaai0519:20191216055845j:image

 

採血の部屋から徒歩3秒ほどで着きます。早い!

ちなみにこの部屋、血液が多いので蚊が多いです。

 

f:id:maaaai0519:20191216060211j:image

 

タイルのテーブルで作業しますが、まるで台所のような感じです。

よくこのテーブルの上をアリたちが普通に歩いています。

先日は蚊の死骸を一生懸命に運ぶアリが製剤の上を歩いていました。日本ではおそらく一生見ないシチュエーションだと思います。

血液製剤を作っているとは思えぬ環境ですが、これが普通です。

 

 

ここで作っている血液製剤(PSL:Produits Sanguines Labiles)は主に3つ

・赤血球製剤(CGR : Concentré de Globules Rouges、日本はRBC

・血小板製剤(CSP : Concentré Standard de Plaquettes、日本はPC)

・凍結血漿製剤(PFC : Plasma Frais Congelé、日本はFFP

 

 

ちなみに赤血球製剤は遠心するかしないかでさらに2種類に分かれます。え、遠心しない?と思ったあなた、そうです、しないのです。これについては次回説明します。

 

 

これら3種類の製剤の他に私が作製した「クリオプレシピテート(Cryoprécipité)」というフィブリノゲン&凝固因子濃縮製剤もあります。いつでも出せるように準備は整えていますが、まだ使用にまでは至っていません。これについても後日お話します。

 

 

採血に使っているバッグ(poche)は、

 

f:id:maaaai0519:20191216061809j:plain

(遠心後の血液)

 

写真のトリプルバッグ(抗凝固剤入りのバッグ、保存液入りバッグ、空のバッグ)が主なバッグですが、

予算が無くなると、ダブルバッグ(抗凝固剤+保存液入りのバッグ、空のバッグ)、そして最悪のときはシングル(抗凝固剤+保存液入りのバッグのみ)になります。

 

 

シングルでの製造を始めてみたときは衝撃でした。鳥肌が立つくらいに恐怖の方法で製剤を作ります。これについては次回お話します。覚悟あれ。

 

 

ちなみにこのバッグ、以前は医療メーカー大手、日本が誇るTERUMOさんのバッグでした。しかし、数か月前に中国のメーカーのバッグに変わりました。安いのでしょう。

そしてその品質の違いに呆れるほどに驚かされました。

バッグの色が違ったり、チューブがふさがっていたり、均一とは言えない粗悪な品質です。それだけではありません、バッグの素材が弱く、当たり所が悪いと遠心の力により穴が開くのです!衝撃です。

 

f:id:maaaai0519:20191216063416j:image

(血が苦手な方ごめんなさい! 遠心後に破損したバッグです)

 

そしてもう一つ、凝血塊(血の塊)ができやすいのです。しかもかなりデカい塊です。

バッグを変えてから、輸血中にフィルターが詰まったといって返却される製剤が急に増え、この1ヶ月ほど地道に1つ1つバッグを確認したところ6%ほどの割合で製剤の中に塊が含まれることが分かりました。塊のある製剤は使用できないので捨てるしかありません。この問題、深刻です。

                     

              

これが日本と中国の違い、とみんなで嘆いています。TERUMOのバッグが恋しいです。

 

 

製造の話に戻ります。

 

 

製造の為にここにある機械は、

大型冷却遠心機 1台

セパレーター(圧力で分けるやつ) 複数台

チューブクランプ(挟むやつ) 複数個

シーラー(チューブを熱で閉じて切れるようにする機械) 1台

電子はかり 1台

です。

 

f:id:maaaai0519:20191216060751j:image

(絶対にゼロgにならない電子はかりとTERUMOのシーラー)

 

f:id:maaaai0519:20191216060758j:image

(たまにハサミも混ざっている、チューブクランプ)

 

f:id:maaaai0519:20191216060903j:image

(血液を圧で押して分離させるセパレーター)

 

 

以前は遠心機が2台でしたが、私が一時帰国から戻ってきたら壊れていました。温度関係の何かが壊れたようです。ということで現在は1台のみでどうにかやっています。もしこの1台も壊れたら、血小板と血漿は作製できなくなります。終わりです。いかにこの大型冷却遠心機が大事かを上層部に説明していますが、購入の気配はありません。遠心機よりも、外観の改装の方が大事なようです。正直、腹が立ちます。

 

f:id:maaaai0519:20191216061131j:image

 (お願いだから壊れないでほしい遠心機)

 

貴重なこの1台がどうか壊れないように、大事に大事に使うようにしています。

平行に設置させたり、固定を徹底したり、汚れはふき取ったり、日本人にとっては当たり前のことだけど、ガボン人にとっては当たり前じゃないことを一緒にやって機械を長い間使えるように意識を植え込んでいます。遠心機から変な音がしたらみんな「どうしたどうした」と様子を確認するようになったので、いいぞみんな!と嬉しくなります。

 

 

このような感じで必要最小限、というより足りない環境で製造しています。

 

 

この部門に所属する検査技師は9人、学生が2人です。

平日の8時から16時、休憩なしで働き続けます。といっても途中で消えてしばらくして戻って来る技師もいます(笑)

 

f:id:maaaai0519:20191216061228j:image

 (セネガル仕入れたアクセサリーを広げて試す女性陣、業務中)

 

この製造部門の長(エブラ)が、以前血小板の回ときに紹介したチーム血小板の一人で、とても仕事にも勉強にも熱心な人で、日本人なみに働く超真面目な人です。他の技師からの信頼も厚い人です。私が日本に一時帰国する際に、色んな人がスマホだのPCだの買ってきてと頼むなか(もちろん買いません)、彼は「フランス語か英語の輸血の教科書があったら買ってきて」とお願いしてきました。熱心すぎて感動です。

エブラが長だからこそ、今の製造部門に足りないことを彼自身が理解していて、私と日本の知識と技術を受け入れてくれ、改善を進めてくれます。私がこの製造部門に重点を置いているのは、最もここが問題山積だったということと、エブラが長で彼を慕う技師が多いからこそ最も改善が進められると思ったからです。いい仲間に恵まれました。

 

 

ややまとまりの無い回となりましたが、こういう場所で毎日働いています。

自然と熱くなれる、腹も立つけど笑い合える、家族のような人たちの揃った、ガボンで一番好きな場所です。

 

f:id:maaaai0519:20191216062838j:plain(育て甲斐のある学生たちと私) 

 

 

次回は、赤血球製剤についてお話します。

 

新隊員さんへの荷物情報

新隊員さんがガボンへ向けて荷造りをしている真っ最中だと思うので、今後の隊員さんの為に持ってきてよかった物、不要だった物情報を書いていきます。

 

ずらずらと長いので、ご了承くださいませ。

 

衣・食・住・職・医薬美容・電子機器のジャンル別で記載していきます。オススメ物はリンクも貼っておきます。

※あくまでも個人的主観で書いています。女性向け情報です。

 

【 衣 】

私はとてつもなく服と靴が多い人なので、それはそれはスーツケース一杯に服、靴、カバンを詰め込んできました。

1年以上生活していて分かったことは、

  • 大事な服は持ってこない方がいい

カビが生えます。スーツは持ってこなければなりませんが、確実に犠牲になります。

 

  • 靴(スニーカー、サンダル、ヒール等)は持参した方が無難

サイズが合うものがなかなかありません。特にヒール系は、ヒールの高さが恐ろしく高いです。骨折レベルで高いです。ちなみに私は日本から10足靴を持っていきましたが(自分でも驚きの数)、多くて困ることはありません(笑)。

 

  • 速乾のTシャツ等はありがたい

  部屋の湿度が80%以上が当たり前なので、服が部屋干しではなかなか乾きません。スポーツ用のTシャツ等は乾きが早めなのであると便利です。無印良品の速乾Tシャツは本当に速乾そして軽いです。ユニクロのブラトップも乾きが早いのでありがたいです。

吸汗速乾UVカット半袖Tシャツ 通販一覧ページ | 無印良品

 

  • きれいめな服はあった方がいい

省庁や国立機関で活動する人は特に必要です。私は日本にいた頃よりもきちんとした服で毎日通勤しています。アフリカだからTシャツとジーパンでいいんだろうなと思っていましたが、びっくりするほどに首都の人たち(男女とも)はお洒落なので、馬鹿にされないためにも、お洒落でいることは重要です。

 

  • カーディガンは必須

エアコンの設定が17℃が普通なので、場所によっては異常に寒いです。カーディガンや、ユニクロのUVのパーカーなどは1つあると重宝します。

 

  • 靴下は絶対に持ってきた方がいい

売っているのをあまり見たことがありません。持ってきた方がいいです。でも、サンダルで過ごすことも多いので、多く持ってきすぎても無駄になってしまいます。

 

  • バッグは複数種類あれば便利

普段使いのリュック、トートバッグ、外出用の小さめバッグ、この3つがあれば大丈夫です。エコバッグも一つあると何かと便利です。スリが多いガボンでは服の下に身分証やスマホを隠しておくのが安全なので、パスポート入れのような小さいカバン(セキュリティポーチやコサック)は必須です。

 

  • 帽子はあれば便利

 

  • 下着も2年分持ってきた方がいい

ちなみにガボンではブラジャーは道端に平置きか、ぶら下げて売っています(笑)

 

  • 長靴は無くていい(地方は分からない)

とてつもない雨が降って外が川のようになることがありますが、そういう時はまず外に出ません(笑)。どうしても出るときは、全てを諦めてスニーカー、あるいはビーサンで外に出て、目的地についたら履き替えています。

 

  • 浴衣は荷物に余裕があれば、あってもいいかも

持ってきている隊員さんもいて、日本のイベントのときに着るとガボン人うけもよく華やかです。でもカビが生えます。

 

最近首都に新しくファストファッション系のお店が進出してきたので、そこで調達することも十分可能です。また仕立て屋さんでは、自分の好きなアフリカの布で服を作ってもらうこともできます(通気性と伸びが悪いので私はめったに着ません)。

 

【 食 】

私は日本食をほぼ持って来ず、後悔しました。

ちなみに大型スーパーには海苔や醤油、ワサビなどがあります。中国人経営の中華食材店には、ちょっとよく分からない調味料や麺などもあるのでどうにか生きてはいけます。

米は日本米に近いものも売っています。タイ米ばかりではないのでご安心を。

ですが、味噌、出汁系、めんつゆ、ポン酢、みりん、わかめ、梅干しなどはどこにもないのでどれか一つは持ってきた方が心の支えになるかもしれません。

私は味噌とわかめが恋しすぎて母に送ってもらいました(ありがとうお母さん)。

一時帰国した時には、めんつゆとポン酢、各種出汁、うどんと大量の餅を買って持ってきました。見るだけで癒されます。

 

あと、箸も数セット持ってくることをオススメします。

 

活動先で日本食作ってよと言われることもあるので、使えそうなものを持っていくことをオススメします。

 

緑茶もいいものは売ってないので、パックや粉のお茶もあれば風邪ひいたときに重宝します。お茶は軽いので現地人にプレゼントするときに便利です。

  

ちなみに、現在のJICA支所の米崎所長がとても料理上手&優しいので、我々隊員に日本食を食べさせてくれます。寿司や納豆まで作ってくれます。なので、今の所長さんがいる限り、日本食には困りません(笑)。ありがとうございます所長。

 

【 住 】

  • あまり深く考えなくても大丈夫

どんな家に住むかにもよりますが、ガボンは他のアフリカ諸国に比べて物がある方だと思うので(特に首都)、生活にとても困るこということはあまりありません。

 

  • カビ対策グッズは必要かも

湿気がすごいので、カビ対策の物は持ってきた方がいいかもしれません。

私はスーツのカビ対策の為に、ジップロックにスーツと乾燥剤を入れて保管しています。革製品も同じようにしています。乾燥剤はスーツケースや食品などいろんなものに入れて使えるので持ってくることをオススメします。

www.amazon.co.jp

カビが生えない予防・生えたときの対応のためにアルコールをスプレーするといいのですが、そのスプレーするものがなかなか見つからないので百均にあるスプレーのボトルはあれば便利です。

※カビ対策はまた今度ブログにアップします。

 

  • あれば便利なものたち

売っていますが、見つけるまで時間がかかるので、S字フック、洗濯紐、紐(何かと使える)、マスキングテープ、ハンガー数本、フェイスタオルなどは持ってきてよかったと思うものでした。ちなみに、保温のマグカップは重宝します(普通のコップは水滴が凄いので)。あと、サーモスの水筒も1つあると出かけるときに便利です。

 

 

【 職 】

  • 専門書は要検討

私は専門書(輸血検査技術教本)は持ってきて良かったですが、分野や職場によっては使うレベルでないところもあるようで、なんとも言えません。

でも持ってきて損はないと思います。

可能であれば、スキャンしてデータにしておくと荷物も軽くなり、カビも生えないので便利です。私は輸血以外の教科書は業者に依頼、輸血系の紙の資料はスキャンしてデータで持ってきました。

BOOKSCAN(ブックスキャン) 本・蔵書電子書籍化サービス - 大和印刷

 

  • 文房具はあまり持って来なくても大丈夫

ノートや文房具はスーパーにも売ってあるので、こだわりが無ければ持って来なくても大丈夫です。ちなみに万年筆を使用している場合、合う替えインクが無いので持ってきてください。クリアファイルは頑丈なものがない、あるいは値段が高いので、いくつか持ってきていると便利です。

 

  • 医療職は白衣は必須

 職場がくれるだろうと思っていましたが、注文すると言い続け結局注文していないので、持ってくることをオススメします。私はスクラブだけ持ってきていましたが、ガボンのラボでは「スクラブは看護師が着るもの」のイメージらしく認められないので、検査技師さんや他の医療職の方も白衣を持ってくることをオススメします。ちなみに助産師隊員さんはスクラブで働いています。

 

  • 写真や動画を撮っておくと便利

仕事の物は持って来られなくても、写真や動画を撮っておくと説明するときに便利なので一通り写真を撮っておくことをオススメします。

 

  • フランス語の勉強参考書は厳選して持ってくること

勉強するだろうと思って持ってきてもあまりやりません(笑)。厳選して参考書を持ってくることをオススメします。

 

【 医薬美容 】

  • 薬はもってきたほうがいい

おなか弱い人は正露丸がいいらしいです。私は葛根湯の粉が持ってきて良かった薬、第一位です。排気ガスが凄いので、喉がやられます。マヌカハニーののど飴は超オススメ。ポカリの粉も数袋あると助かります。目薬は持ってきた方がいいです。あとビタミン剤もあれば安心です。

 

  • コンタクトの人は種類を要検討したほうがいい

私は1dayのコンタクトを2年分持っていき、業者並みの量でした。断水はほぼ無いし、水も見た目はきれいなので、2weekでもよかったかなと思います。洗浄液を大型スーパーでは見かけますが、質は不明です。

↓ 2年分の1dayコンタクト

 

普通にスーパーに売っています。持って来なくて大丈夫です。

 

  • 虫さされ関係は大事

かゆみ止めは売っていません。持ってきた方がいいです。2本は必要。

虫よけスプレーは売っています。入手までのつなぎで1本持ってくると便利です(ディート30%以上で効果あり)。

蚊帳は売ってます。

蚊が居なくなるスプレーは有効です。2本あると安心です。

蚊取り線香は売っていますが喉がやられます。ベープのような電子式のものがあると安心です。

ダニを捕獲するようのダニロボを使っている人も多いようです。

 

  •  シャンプー、化粧水、歯ブラシ等、普通に売っています

シャンプーはダブなどいろんな種類のものが売っています。初日の数回分くらいの小さいものがあれば十分です。ヘアスプレーや染めるやつも売っています。歯ブラシ・歯磨き粉も様々な種類があるので困りません。化粧水などもロレアルパリやロクシタンなどが売っているので困りません。

 

  • 化粧品、日焼け止めは持ってくるべき

アイライナーなどは売っていますが、ファンデーション等は日本人の肌の色に合うものは売っていません。2年分持ってきた方がいいです。ちなみにだんだんと日焼けしていくので、徐々に色のトーンを下げていく前提で購入することをオススメします。日焼け止めも売っていない?のか見たことがありません。焼きたくない方は多めに持っていくことをオススメします(私は合計7本持参)。

 

  • 生理用品はフランスの物が売っています

ナプキンはスーパーに売っています。種類も多めです。肌に合う合わないがあると思いますが、私は普通に使えています。

 

  • 折りたたみ傘は持ってきた方がいい

傘のクオリティ低めです。折り畳みを見つけても大きめのものしか売っていません。日傘を兼ねた折り畳み傘を持ってくることをオススメします。

 

 

【  電子機器  】

機械大好きなのでいろいろ持ってきた結果、手荷物のリュックが17kgになり肩が折れると思いました。

※手荷物の重量検査はエチオピア航空ではありませんでした!!ラッキー!!

 

  • パソコンは1台でいい

 2台持って来ましたが、結局一つののPCを職場でも家でも使うので、もう一台は一時帰国のときに持ち帰ったくらいに2台は不要です。あと、ウイルス対策はしっかりしましょう。

 

  • 変圧器は持ってきた方がいい

 念のためパソコンは変圧器を使っています。使わずに使用したらコンセントから火花が見えたこともあったので、持ってきて使用した方が安全です。

 

Wifiが家にあるので、iPadなしの生活は考えられないくらい毎日使用しています。動画を見るにも調べものをするにも、一番便利な媒体です。ちなみにノートPCが接続出来ないくらい弱いインターネットでも、iPadiPhoneは普通につながります。apple製品はネット接続に強いということがガボンに来て分かりました。

私はiPad proでペンを使って絵を描いて活動にも活かしています。買おうか悩んでいる方はぜひ購入をお勧めします。

 

  • 電子辞書は必須

例文や動詞の活用が載っているのは本当に助かります。

 

売っている電池は寿命が短い&値段が高いので、エネループがあれば電子辞書やそのほかの物にもガンガン使えるので便利です。

ちなみにモバイルバッテリーも持って来ましたがほぼ使用していません。

 

  • ポータブルスピーカはあれば生活が質が上がります

これは持ってきて良かったもの第一位かもしれません。動画も音楽もストレスなく聞けるので便利です。オススメはBOSEです。

https://www.bose.co.jp/ja_jp/products/speakers/portable_speakers/soundlink-micro.html#v=soundlink_micro_black

 

  • ヘアードライヤーは売ってます

 熱機器専用の変圧器と一緒に持ってきました(笑) でもガボンでも売っています。手ごろな値段のものはただ風を出す感じですがこだわりが無ければ持って来なくても大丈夫です。いいものは高いです。コテも売っています。

 

  • カメラは惜しくなければもってきて

私は一眼レフカメラにカビが生えるのが嫌で日本に置いてきました。でもあればよかったなと思うタイミングが沢山あるので、レンズが惜しくなければ持ってきていいと思います。特に地方の方は写真を撮りやすい環境だと思うので、使用頻度も多くていいと思います。

 

 

ずらーっと書いていきましたが、思い当たるのはこんな感じです。

荷物が多い人間なのでかなり持って来ましたが、同期はリュックと紙袋で空港に登場するくらいの軽い荷物でも普通に生活しています。

2年分をスーツケース2個に詰めるのは大変な作業ですが、2年間のガボン生活を想像しながら荷造り頑張ってくださいね。

 

質問あればコメントどうぞ。

 

では、次回から再び輸血センターに戻ります!いよいよ、私の庭、「製造部門」です!!

ガボン国立輸血センター④ −感染症検査部門-

前回の血液型検査に引き続き、ラボについてお話します。

 

 

2つ目のラボは「感染症検査(Sérologie)」です。

 

 

献血された血液は、血液型検査の他に、感染症の検査を実施します。

 

 

この感染症部門ですが、私はここではあまり活動していません。私が感染症検査系の知識に弱い&改善できることが少ないように思えたので、前半の時期に現状把握のため1ヶ月間過ごしたくらいです。よって前回のように、あまり詳しく説明できません。

最後に感染症の陽性率を発表しますので、どのくらいか、何が1番陽性率が高いか予想してみてください。

 

 

 ではいきましょう!

フランス語は灰色です。

 

 

このラボで検査している項目は4つ。

HIV検査(抗原/抗体)VIH

B型肝炎ウイルス検査(HBs抗原)Hépatite B

C型肝炎ウイルス検査(HCV抗体)Hépatite C

・梅毒血清学的検査(TP抗体) Syphilis

 (抗体;Anticorps 抗原;Antigène

 

 

参考までに日本赤十字社で行っている感染症の検査は、

・梅毒血清学的検査

B型肝炎ウイルス検査(HBs抗原、HBs抗体、HBC抗体)

C型肝炎ウイルス検査(HCV抗体)

HIV検査(HIV-1、2抗体)

HTLV-1抗体検査

・ヒトパルボウイルスB19検査

さらに核酸増幅検査で、

B型肝炎ウイルス検査

C型肝炎ウイルス検査

HIV検査

です。

 

詳しく知りたい方は、日本赤十字社のHPをどうぞ!

検査|安全な血液の供給のために|血液事業|活動内容・実績を知る|日本赤十字社

いつも日赤さんのHPや学術情報には大変お世話になっております。丁寧に分かりやすく、しかも見やすく情報提供する技術は、日本人のおもてなし精神が根本にあるからなんだろうなと感じます。日本最高。日赤さんいつも本当にありがとうございます。

 

さて、検査の部屋はこんな感じです。

f:id:maaaai0519:20191108054607j:image

(検査が終わって静かな様子)

結構きれいに整頓されています。

5Sはもうすでに、このセンサーでは出来上がっています。

 

 

検査の種類はELISA法。

日本のようなNAT検査は行っていません。

寄生虫関連もやっていません。

もちろん日本赤十字社のように、健康診断並みの血液検査はやっていません。

日本は肝機能とかもサービスでやっているというと、みんなとんでもなく驚きます。

 

 

この4つの項目を自動化、とは程遠い、用手法で検査をしています。

日本のように、遠心して搬送ルートに置いたら自動に検査して結果もシステムに飛ばしてくれる自動化が恋しいです。

 

 

手で一つ一つ分注してELISA法を行い、

(写真撮るのを思い出して行くと、いつももう既に検査を終えているという相性の悪さ)

 

結果はこの機器で数値化し、

f:id:maaaai0519:20191108054748j:image

 

陽性か陰性か判定しています。

でも、この機器、よく壊れます。

 

 

もう一つ、別の部屋にはCobasがあります。

技師の皆さんは、おーコバス!となりますよね。

 

f:id:maaaai0519:20191108054851j:image

f:id:maaaai0519:20191108055059j:image

CobasはRocheと日立の機械です。どこにでも日本の機械があるのは嬉しい&誇らしい限りです。日本で病院勤務をしていた頃、このCobasを検査室で扱っていたのでガボンで再会できた時は感動でした。

 

 

このCobasは、先程のELISAに比べては自動化されていて、番号を入力すれば検査してくれるので他の機械に比べたら便利で助かっています。

が、機械の後ろから水が垂れ流しになっているときがあったり、動かないときがあったり、いくら日本製といえどもメンテナンスなしで使い続けると不具合を生じるのは避けられないようです。

 

 

メンテナンス問題、深刻です。

 

 

もうひとつVidasという機械もあります。

がこの機械はよく分かりません(笑)

f:id:maaaai0519:20191108055144j:image

(よく知らないVidas)

 

このように3種類の検査方法で検査しているのですが、試薬の状況、機械の状況、急ぎ具合などにより方法を選んで検査しています。でもELISA法がメインのようです。

 

 

以前はELISA法とCobas両方で検査し、結果が違う場合翌日もう一度検査というようにしていましたが、現在は違うようです(詳細不明)。

 

 

検査の結果が出ると、前回の血液型検査と同じく、結果を輸血システムに手入力して完了です。

 

 

この感染症の結果は、2週間後にドナーに返却しています。(Rendre de résultat)

でも日本のように郵便システムはないので、結果を取りに来たドナーにだけ返却しています。

陽性のドナーは個室に移され、医師と面談をします。

無料で感染症と血液型の検査を受けられるのは貴重な機会なはずなので、この検査結果返却システムをもっと上手く宣伝に使うのはありだと思っています。

 

 

そしてぜひお見せしたい写真があります。

 

f:id:maaaai0519:20191108055702j:image
f:id:maaaai0519:20191108055707j:image

これ、蒸留水(L’eau distillée)の機械です。(笑)

怪しさ満点です。

 

そしてその蒸留水を入れているボトル

f:id:maaaai0519:20191108055840j:image

いやもう、アウトでしょ(笑)

 

 

一日の検査の件数は、日にもよりますが80人前後で、この検体(多い日は200人近く)を一つ一つ手で検査しています。なかなか大変な作業ですが、黙々と真剣に検査をしています。

 

 

ここで働く技師は3名、研修生が3人くらい?という感じです。

 

 

なぜかこの部門の技師は辞めていく人が多く、すでに3人が去っていきました。

3人とも優秀な技師だったので残念です。優秀だからこそ、もっと様々なことができるラボに行きたかったのでしょう。

 

 

そしてこのラボ、実は大きな問題を抱えています。

 

 

それは、

 

 

「試薬不足」。

 

 

センターにお金が無くて試薬を買えず、検査できないということが頻発しています。

「Pas de réactif(試薬ない)」という言葉がよく飛び交う場所です。

お金が無いと言われると、もうどうしようもありません。待つしかありません。

あれこれいうと「じゃあ日本が買ってよ」という言葉も出てきて好きじゃないのであまり口を出さないようにしています。

 

 

「これがアフリカ」

 

 

よくここのセンターの人たちが言う言葉を受け入れざるを得ない現実です。

 

 

ひどいときは2週間ほど試薬を買えず、血小板製剤の在庫がゼロの状態が続きました。日本では考えられない非常事態ですが、ここではいたって普通の事です。

 

 

アフリカ、厳しいです。

 

 

5月の一時帰国で、輸血学会でガボン国立輸血センターでの活動内容を発表した時、座長の先生から「マラリアは検査していないのですか?」と質問を頂きました。

たしかにやるべきではあります。でも、お金がありません。

安全はお金で買うものなのだと、悲しいですが、痛感します。

 

 

以前紹介したランバレネにあるシュバイツァー病院では、HIVHBVHCV、梅毒の他にマラリアとミクロフィラリアの検査もしています。方法はイムノクロマト法、顕微鏡での検査です。ランバレネは川がそばにあるのでミクロフィラリア陽性が多いそうです。前回の見学で、うにょうにょ動く生きたミクロフィラリアを生で見ることができました。感動。

動画で撮ったので欲しい方いたらあげます(笑)

 

 

ではこのラボでの感染症の陽性率を発表します。(2017年の結果)

 

 

年間採血数(19385件)から計算した感染症の陽性率は、

約8%です。

 

感染症陽性順位

1位 HBV 869件

2位 HIV  401件

3位 梅毒  383件

4位 HCV 137件

 

2つ以上に感染している人もいて、合計1484人が年間で陽性判明しました。

 

 

なかなか高いですよね。この環境で検査することが正直怖いです。

 

 

献血できるくらい健康な人のはずなのにこれだけの陽性率であれば、すでに感染症陽性と分かっている人も合わせた国全体の陽性率を考えると、軽く10%は超えると思います。

地味に、静かに、深刻な問題です。

 

 

以上、ラボでした!

 

 

次回はセンターシリーズを一旦休憩し、そろそろ協力隊の2次隊の皆さんが任国へ向けて荷造りを始める頃だと思うのでガボンに持ってきてよかったものなどなど書きます。

 

 

同期ブログと同期助産師さんのブログも更新されているのでぜひご覧下さい!

同期ブログ 『ガボンマタン』

Gabon Matin -ガボンマタン-

 

同期助産師ブログ 『我らのガボン日記–助産師編–』

我らのガボン日記-助産師編-

 

ではまた~

ガボン国立輸血センター③ -血液型検査部門-

今回は献血された血液がどうやって検査されているのかをご紹介します。

 

先に謝りますが、今回は専門的な内容になっています。 初めて聞く内容満載だと思いますが、 これが輸血を扱う検査技師の世界と思って、 別の世界を覗く感じでどうぞ(笑)。そして技師の皆さん、 アフリカの輸血検査の実態を覗けるおもしろい内容だと思います。 最後に問題点を列挙しているので、 解決方法や意見などよかったらコメントください。

 

では、いきましょう。

 

献血された血液は、感染症にかかっていないか、 血液型は何型かなど、その品質を確かめるために検査を行います。

 

前回ご紹介した献血の採血の際に、検査用のスピッツで2~3本採血するのでそれを使って検査を行います。

f:id:maaaai0519:20191020232938j:image

ドナーごと(採血バッグごと)にバーコード管理されています。

 

検査は、輸血センターの建物内にあるラボで行います。

f:id:maaaai0519:20191021215119j:image

 

日本赤十字社の場合は、 献血ルームで採血された血液は各地方に1つある( 東北地方なら宮城県)大きな血液センターまで送り、そこで検査・ 製造・管理をしています。 そして出来上がった製剤は各都道府県に分配されていきます。

 

ガボンの場合、献血事業に関しては全てがこのセンター内で完結するので、徒歩10秒ほどで検査へたどり着けます。

 

この検査部門は大きく分けて2つあります。

※2代目以降の隊員のため、フランス語圏の医療人のために、 専門用語はフランス語の表記もはじめます。

 

1つ目の部門は、「血液型検査(immunohématologie)」

 

f:id:maaaai0519:20191021233603j:image

(部屋の様子)

 

ここではその名の通り、血液型に関する検査します。

検査項目は、

・ABO血液型(Groupes sanguins ABO)

・Rh血液型(Groupes sanguins Rh, antigènes d'expression Rh)

・D陰性確認試験 (Du)

・Hemolysine(直訳で溶血素、謎の検査)

この4つです。

 

これを読んでいる医療関係者のみなさん、 お気づきになりましたでしょうか。

 

そうです。不規則抗体検査(RAI:Rechercher anticorps irrégulier)はスクリーニング、 同定ともに実施していません。

 

不規則抗体とは、簡単に言うと他人の血液型に対する抗体です。 血液型と聞くと、A型!B型!という感じですが、このABOの血液型の他にもたくさんの種類の血液型(抗原)はあります。 例えば、よく聞く「Rhマイナス」とかいうものは「RhのD抗原が陰性」という意味で、 このように細かく血液型は分類されています。 難しくなってきましたね。

つまり、 不規則抗体とは他人の血液が自分の体内に入ってきたときに反応する抗体で、 輸血を受けたときや妊娠でお腹の中の子の血液が母体に入ってきたときに、「他人の血液だ~!やっつけろ~」 というように産生される抗体のことです。 この抗体を産生する人もいれば、いない人もいる、 アレルギーにちょっと似てますね。

 

日本赤十字はこの不規則抗体検査を実施していて、 抗体が無いことを確認した製剤を供給しています。

 

ガボンでは、何代か前の施設長時代は実施していたそうですが、 施設長が変わると検査内容や検査方法が変わるので、 今は行っていません。というより、実施する予算が無いようです。

もし実施したとしても、 この国の技師さんは検査の詳しい方法や結果の解釈を知りません。

教えられる技師も、先生も、教科書もありません。

誰かがどこかの国へ習いに行く、誰かをセンターに招く、 分からないけど何とか自己流で検査する、諦めて検査しない、このどれかを選択するしかありません。

私たちJICAボランティアは、この2番目の役割を担っています 。

でも、「現状をよくするためにここへ来たけれども、 お金が無ければ始まらないことが沢山ある、ありすぎる」 これを痛感しております。

 

ここの技師さんたちも、「不規則抗体検査は実施すべき」 という意見なので、いつか、いつか、 検査が出来る日がくるといいなと思っています。そしてその「 いつか」が本当に訪れたとき、ここにJICAボランティアが居て 、指導してくれることを願っています。

 

この国(というよりアフリカ)の女性の妊娠出産回数の多さ、 簡単な検査のみで輸血を受けている患者数を考えると、 抗体陽性の人は多いと思うので、 不規則抗体に焦点をあてた研究を行うと面白いだろうなと思います 。新しい抗体とか発見されそう…。楽しそう。

 

話が専門的になり過ぎていますが、大丈夫でしょうか…これが、 技師の世界です(笑)

 

 

次は、ABO血液型検査についてです。

 

 

どんな方法で検査をしているか、ずばり、方法は、

f:id:maaaai0519:20191020233433j:image

スライド法(sur plaque)

 

オモテ検査(Beth-Vincent)、ウラ検査(Simonin -Michon)ともにこの方法です。

検査技師なら「うおおおお、ウラも!」と思いますよね。

 

試薬(réactif)は、抗体試薬は購入し、 血球試薬(hématie)はセンター内で作成しています。

f:id:maaaai0519:20191021215716j:image

(このラボにある全試薬の種類)

 

このスライド法は、 板の上で血液と検査試薬を混ぜて固まるか固まらないかを見て血液型を判定する方法なのですが、日本でいうと20年くらい前? に主流だった検査方法です。

 

血液が固まる、固まらない、 なんのことだと思う方もいらっしゃると思うので簡単に説明します 。

絵を書きました。

例:A型の人

A型の人の赤血球にはA型の抗原(つまりA型の物質)があります。

f:id:maaaai0519:20191022061808j:image

 

ここに血液型を検査するための試薬、抗A試薬と抗B試薬を加えます。抗Aには抗A抗体(A型の物質に対する抗体)が、抗Bには抗B抗体(B型の物質に対する抗体)が入っています。

f:id:maaaai0519:20191022062038j:image

(拡大した抗体の先の図は分かりやすく大げさに書いたイメージ抗体です)

 

さあ、血液と試薬を混ぜ合わせると、どうなるか

f:id:maaaai0519:20191022062056j:image

 

抗A試薬の方にご注目!

f:id:maaaai0519:20191022062117j:image

くっつきました。

 

抗A試薬の中にはA型の抗原と反応する抗A抗体が入っているので、赤血球のA抗原と反応してどんどんくっついて大きな塊をつくっていきます。

一方で抗B試薬の方には抗B抗体が入っているのですが、A型の人の赤血球にはB抗原はないのでくっつくところがありません。

 

ということで、抗A試薬の方は赤血球の塊ができ、抗B試薬の方はなにも変化が起こりません。

 

この固まった、 固まらないというパターンの組み合わせで血液型を調べていきます 。

 

 

せっかくなので、皆さんにも血液型判定をして頂きましょう。

注目してほしいのは、抗A、抗Bの様子です。

f:id:maaaai0519:20191022063756j:image

 

判定の答えは、

① A型 RhD陽性(抗A試薬に反応して塊ができてます)

② O型 RhD陽性(抗Aと抗Bのどちらにも反応せず塊はありません)

 

少し検査の世界を理解して頂けたでしょうか。分かると楽しいですよね。

 

日本人では、A型約40%、O型約30%、B型約20%、AB型約10%です。

一方ガボンは、O型約60%、A型20%、B型17% 、AB型3%です。

 

抗原検査(オモテ検査)だけじゃなく、抗体検査(ウラ検査) までもスライド法でやるとは、 日本で検査を学んだ技師としては驚きだったのですが、 思ったよりもきちんと凝集します。 もちろん凝集が弱いものもあります。その凝集が弱いものを「その後どうやって検査を進めていくか」 という知識と技術はこのラボにはありません。

 

ここでは、スライド法の他にもカラム凝集法(sur carte gel)を実施しています。

f:id:maaaai0519:20191020233818j:image

(Bioradさんのカード)

 

ですが!!! 予算の関係でカードを買えなくなり、現在は使用していません。

※使用していた頃に私はいましたが、滴下量、 濃度は説明書ガン無視です。そのせいで、 正しく結果が出ない検体が多数です。なぜ説明書を読まないのか、 謎です。

 

そしてさらに前は、マイクロプレート法を使用していたようです。

ですが!!! 

f:id:maaaai0519:20191020233823j:image

検査機械が壊れたらしく、化石と化しています。しかも2台も。

 

立派な機械があっても、 不具合が起きたときにメンテナンスする業者も技術者もいない、 定期メンテナンス契約を結んでいない、そもそもメンテナンスという概念がないという現状なため、 どんなに高価な機械でも「使い捨て」です。 一度壊れたらそこで終了。これが、この国の医療機器の現状です。 なかなかに、ショックな現状です。

医療機器を扱う工学技士、 修理をする専門の技術者は絶対的に必要な存在ですが、ガボンには、養成校がありません。メンテナンス問題は、 かなり根深い問題です。

 

残念ながら試験管法(sur tube à hémolyse)は行っていません。 というかこの方法をこの国の技師は知りません。

 

 

そしてお次は、Rh血液型

 

 

Rhの血液型は有名なDの他にも、Cやc、E、eというように細かく型があります。

このどれが赤血球に存在するかというのを調べるのがRhフェノタイプの検査です。

 

Rhの検査方法も、スライド法です。

f:id:maaaai0519:20191022061736j:image

 

こちらも案外ちゃんと凝集します。

 

日本ではRhD陰性は0.5%ですが、ガボンは2.5%です。

そして、アフリカではDcceeが多いので、このタイプをstandardと表現しています。

 

センターでは、このRhフェノタイプを毎回検査しています。 全員、毎回です。

これは以前「勝負」と題した内容で触れましたが、Rhフェノタイプは毎回検査する必要はありません。 基本的に一生変わらないからです。 一度あるいは二回検査すれば十分です。

しかも試薬は高い(ABO血液型検査の12倍の値段)! お金が無い無い言うのに、この試薬を湯水のごとく使います。

 

このセンターに来てからずーーーーと「複数回検査の廃止」 を呼びかけていますが、結果としてまだ廃止でできていません。 でも諦めません、まだ戦います。

 

D陰性確認試験は、LISS-クームスのカードで抗D試薬( モノクローナル)1種類でやっています。

 

みなさん大丈夫でしょうか、 ここまで読んでくれたということに感謝します。 ここまで読めたのなら。まだもう少し行けます。

 

 

最後はHemolysine

 

 

これは、謎の検査です。

O型のドナー血液中に溶血をおこすIgG型の抗A、抗B抗体があるかどうかを見る検査です。方法は、各試験管にA型、B型の赤血球をいれ、そこにO型ドナーの血清をいれ、37℃で30分加温 します。それを3000rpmで1分間遠心して、溶血したらHemolysine陽性です。

はたしてこれで目的の検査は出来ているのでしょうか。 ちなみに今まで陽性になった検体を見たことはありません。 そもそも手作りの血球試薬がもともと軽く溶血しているので、 結果がよく分かりません。

論文探したり原理をよく考えたりしましたが、 正解が未だに分かりません。

このHemolysineについてご存知の方いらっしゃいました ら、ぜひコメントやアドレスご存知の方はGmailください。

 

 

このような感じで、4つの検査を3~4人の技師や学生(研修生)で行い結果を出しています。検査するのは前日の検体なので、 採血翌日午後には結果が揃います。結果は、 輸血システムに手入力して登録しています。

f:id:maaaai0519:20191021233317j:image

(結果の記入用紙)

f:id:maaaai0519:20191021233401j:image

(パソコンで輸血システムに結果入力)

 

しかし、試薬が無いことが多いので、 何日も結果が出ないということは当たり前です。

「これがガボンよ」という言葉で片付けてしまう、 片付けざるを得ないこの現状にはうんざりしますし、 悲しみも苛立ちもやるせなさも様々な感情が沸き上がります。

 

現在のこのラボでの活動は、

・血液型検査の質の向上

・血液型判定が難しい検体の検査手技と結果解釈の指導

・検査マニュアル、プロトコールの作成

・試験管法の導入

を行っています。

 

試薬の種類や材料が無いので、やりたい検査、 やるべき検査の殆どが出来ません。 あるもので結果を出せるように工夫していますが、難しいですね。

 

まとまりが無くなりましたが、 こんな感じでガボンの輸血製剤の血液型の検査は行われています。

 

来週はもう一つのラボ「感染症検査」についてご紹介します。

 

最後に、現段階までで私が思う血液型検査のラボの問題点です。 細かく書いています。

・全般的に検査の滴下量、濃度などが雑。自己流。

・説明書は、読まない

・試薬の在庫管理が不十分で、在庫切れが頻発。

・お金が無いから試薬が買えない

・検体は室温放置(何日も室温に置いた検体で再検査は当たり前)

・ABO血液型スライド法で、 一気にまとめて検査したがるので乾燥して誤判定している

・dpの判定ができない(dpを知らない)

・試験管法をやっていないので、出来る検査が非常に限られる

・オモテ検査とウラ検査は、 別のタイミングに別の技師により行われている。 二人の技師による検査という観点からはいい気がするが、 これによりオモテとウラは別の人によって検査する別々の検査とい う認識となり、後日述べる払い出し部門において「オモテ検査」 のみで血液型を確定させている。

・オモテウラ不一致があったときに、 そのあとどう検査するのかの知識もプロトコールもない

・血球試薬を作成しているが、品質は不安

・Rhフェノタイプを毎回検査している

・D陰性確認試験は1社のみ( モノクローナル抗体

・D陰性試験にコントロールをおかないので、 直接クームス陽性かどうか不明。

・Hemolysineは、この方法でいいのか、そもそも全般的に謎

・37℃の恒温器が40℃越え

・検体用の遠心機は動くけど壊れている

・試薬の会社をよく変える

・施設長が変わると検査方法が変わるので、技術が定着しない

 

こんなにあって、残り9ヶ月じゃ解決できない(笑)

 

では、また~!

ガボン国立輸血センター② -献血part2-

前回に引き続き、献血部門についてです。

 

⑤ 採血

 

医師の問診でOKを貰うと、いよいよ採血です。

 

採血の部屋の様子はこんな感じです

f:id:maaaai0519:20191008234059j:image

(最近椅子が新しくなりました)

 

f:id:maaaai0519:20191008235547j:image

(ありがとうドナーさん!)

 

採血は全血のみで、量は最大で450ml(日本は400ml)。

日本のような成分採血はありません。

 

ちなみに使っている採血のバッグは「TERUMO」!

f:id:maaaai0519:20191008234226j:image

(写真はトリプルタイプのバッグ)

 

日本が誇るテルモさんのバッグ!

だったですが、つい最近、 予算の問題で安い中国企業のバッグになりました。 質が悪くて全員から不評です。

やはりテルモさん、凄いです。Made in Japan最高です。

 

ちなみに、予算の問題でトリプルがダブルになったり、最悪な時はシングルになります。

31アイスのことじゃないですよ。なんのこっちゃ分からない方が多いと思うので、製造部門の時にお話します。

 

ここの看護師さんたちは採血のプロなので、 ほぼ失敗することなくズバズバと血を抜いていきます。 ほんとに上手です。

f:id:maaaai0519:20191008235557j:image

 

 

ですが、問題点も多々あります。医療者向けに細かく書きます。

【採血の問題点】

・消毒手技が不十分。(消毒の後に触ってしまうとか)

・アルコール濃度が高濃度すぎる(97%)

・採血バッグの使い方が違う( 初流血除去バッグの血液を本採血バッグに流しいれる)

・血液と抗凝固剤をきちんと混和しない

・途中で採血が止まったら、その同じ針でもう片方の腕から続けて採血

・ドナーの観察が不十分で採血量が450mlをオーバー

・迷走神経反射をおこすドナーが多め(考えられる理由: ご飯を食べていない。針を根元まで刺しすぎ。 観察しないから変化に気づけない。 隣で採血されているドナーの距離が近く四方八方に血が視野に入り 、血が苦手は人には地獄など)

・迷走神経反射をおこしても、椅子を倒せないので頭を低く、 脚は高い位置にできない

・全般的に看護師が不親切

大体こういう感じです。

 

看護師が悪いというのではなく、 ただ単純に正しい知識や技術の情報がこのセンター、 この国にはないということの問題なのです。

ないのであれば、不足している部分の正しい知識を補い、 ズレている部分は修正すればいい。 能力は高い看護師さんたちなので、伸びしろしかありません!

ということで、私の活動のひとつに「採血部門の改善」 を入れています。そして、今まさにその改善活動の真っ最中です。 その詳細と成果は後日お話します。

 

 

⑥ カフェ(軽食)

 

f:id:maaaai0519:20191008235922j:image

 

献血を終えたドナーさんには、 感謝の意味を込めてサンドイッチとジュース1杯の軽食を用意して います。

 

f:id:maaaai0519:20191009000806j:image

(だいたいいつもフランスパンだけど、この日は食パンタイプのサンドイッチ)

 

でもこの軽食、 パンや中身のハムなどがしょっちゅう在庫尽きてしまい、 ジュースのみのときが頻発しています。

在庫管理の甘さには頭を抱えます。

 

ドナーの中には、「自分は血液をあげたのに、 たったこれだけ?」と文句をいう人も大勢います。

イラっとするときもありますが、ごもっともな意見でもあるので、 サービス改善のための参考意見にしています。

 

輸血センターに来た当初から、 このカフェはリピーターの献血者を増やす絶好の場所だと思ってい ました。

同じくセンター長もここのサービスの質の向上は必須だと思ってい たようなので、私も意見を出しつつ、 少しずつ改善が始まってきています。

 

現段階までの改善内容を上げると、

① 衛生管理

 以前は自由にアリが歩き回るテーブルで、 サンドイッチを手も洗わずに素手で調理しているような状況でした 。サンドイッチも前日に残ったものを出すときもあり、 食中毒発生の危険性があったので、衛生管理の改善を指示し、 現在は頻回の掃除と、手袋着用での調理、 提供するのは当日調理品のみになっています。

 

② テレビ

 このカフェのテレビで流れているのはいつもキリスト教の番組でし た。聖書の読解番組をひたすら流されても、「ん~」 という感じです。ガボンにはイスラム教徒が3割ほどいるので、 少々配慮が欠けていると感じ、番組の切り替えを提案。 せっかくだから、 センターのプロモーションビデオみたいなやつを流せばどうかと軽く提案したら、実現しました(笑)。

ガボンのコメディアンとセンターの職員で作ったそうです。 ちなみに私の血小板作製の相棒技師イスマエルが医者役で出演して います。

f:id:maaaai0519:20191009000238j:image

(テレビに映ってるのがプロモーションビデオ)

 

③ サンドイッチの内容

以前はサンドイッチの中身がハムで、 イスラム教徒は食べられない中身でした。これを指摘したら、 中身の種類が増え、 イスラム教徒でも食べられるようになりました。というか、 施設長イスラム教徒だから私より先に気付いてよとツッコミたくなります(笑)。

 

今後も帰国まで、このカフェでは継続的に少しずつ活動を進めていく予定で す。

 

 

 

という感じで前回の受付からこのカフェまでが献血部門の一連の流れになっています。

 

細かい部分は違っても、大体の流れは日本の献血と一緒ですよね。

日本の献血システムとアイデアに、ガボン流のアレンジを加えて質を上げていくのが私の活動です。

 

ちなみに、献血は土日も含めて毎日しており、2交代制で朝8時~ 夜の20時まで実施しています。

以前は土日は休み、平日は18時までの採血でしたが、 施設長の一言で現在の体制になりました。 施設長の権限は果てしないです。

 

ということで、献血部門の紹介でした!

次回は採血された血液が検査される、検査部門をご紹介します。

 

ではまた〜