我らのガボン日記 ー臨床検査技師編ー

青年海外協力隊としてガボンで輸血医療向上を目指す臨床検査技師の日記

子どもの数

ご無沙汰してしまいました。

日本はそろそろ祭りが始まりますね。

青森っ子の私は、ねぶた祭が恋しいです。ラッセーラー言いながら跳ねたいです。

 

 

今日はよく聞かれることについてお話します。

 

 

ガボンでは知らない人と会話をする機会がよくあります。

その相手は、タクシーの運転手や乗り合いの乗客、スーパーの店員、道案内をしてくれた人、通りすがりの人、様々です。

 

そして必ずと言っていいほど、というかほぼ99%くらいでしょうか、必ず導入で聞いてくる質問があります。それは、

 

 

「子供は何人いるの?」

 

 

いやいや、そこはまず彼氏いるのとかでしょ!って突っ込みたい気分になります。

 

子どもの数なんて、日本では絶対にありえない、というか初対面で一番初めに聞いたらセクハラになる質問でしょう。

でもこの質問はこの国では、一番先に投げかけられる内容です。

 

聞いてくる質問の内容と順番は、

1.子供の数

2.結婚しているか

3.付き合っている人はいるか

4.今は家に誰と住んでいるのか

5.相手はどこにいるか

6.家に行っていいか(チャラい男は聞いてくる。)

7.今夜一緒に寝ないか(6を聞いてくる人は大体聞いてくる)

 

 

なんかもう…笑

 

 

ガボン生活し始めの頃は素直に答えていましたが、もう面倒なので「結婚している」と返事して、ガボンで旦那と一緒に住んでいることにしています笑。

 

あ、実際は独身です。

 

するどい人は、「なんで結婚指輪してないの」と聞いてきます。

おいおい良く見てるな~、と思いつつ「アレルギーだからつけてない」と返答するとアレルギーというもの知らない人が多いので、「???」となって会話が終わります。いい感じです。

 

 

そもそもなんでこんな質問の順番なんだと考えてみると、あっさり答えは見つかりました。

答えはこの国が抱えている問題です。それは、

 

 

 「若年妊娠」

 

 

 高校の制服を着たお腹の大きい女の子、赤ちゃんを抱えて歩いているまだ10代半ばくらい若い女の子、17歳で子供を産んだという職場の同僚たち

 

この国では若くして子供を産むというのが当たり前です。

 

 

ガボンの若年層(15-19歳)による出生率がまだ高い水準にあり、出生1,000人あたり135である。そして、20-49歳女性の約35%は、若年出産を経験しているのが現状である。国レベルでの出生率は、女性一人あたり4.2人子どもを産む水準である。

 国連広報センター ブログより引用

 

付き合う、仕事をして安定した収入を得る、結婚する、子供を産む、そういう順番は関係なく「子供を産む」ということが一番最初にくる物事のようです。

むしろ子供がいるから働くという流れになるのかもしれません。

 

 

そして子供をたくさん産む女性、子供がたくさんいる男性はこの国では健康や財力を示す事柄になるようです。

これは、子供がきちんと生まれて育つというがいかに大変なことなのかを示しています。

 

保健分野で活動している隊員さんから聞いた話では、

HIV陽性の母親から産まれた子供もHIV陽性で、治療をしたけども亡くなってしまったとき

「また次の子を産めばいい」

とその母親は言ったそうです。

その子がまたHIV陽性だったどうするの?と聞くと

「陰性の子が生まれるまで産めばいい」

と答えたそうです。

 

なかなかにショックというか、命の重さを考えさせられます。

 

 

アフリカ = 大家族というイメージは、子供の数に対する意味の大きさを表していたとはこの国に来るまで、こんな質問をされるまで知りませんでした。

 

なので、私の年齢で子供ゼロ、結婚していないということはかなり珍しいというか何か病気でもあるんじゃないかというように思われるそうです。

 

ちなみに兄弟の数も聞かれて「姉と私の2人」と答えると、とんでもなくびっくりされます。

その驚きに逆に私もびっくりします。

 

日本では子供の数が1人や2人というのは普通だよというと、「そんな!あり得ない」という反応です。

なので「10人も子供がいたらテレビ局が取材に来るくらい珍しいことだよ」と教えています。

 

ということで、今回は子供の数に関するお話でした!

 

先程引用した国連のブログで、私もお世話になっている国連人口基金UNFPA)のガボン事務所代表の方の記事がガボンの母子保健事情をとても分かりやすく書いてくださっているので興味のある方はどうぞご覧ください。

blog.unic.or.jp