我らのガボン日記 ー臨床検査技師編ー

青年海外協力隊としてガボンで輸血医療向上を目指す臨床検査技師の日記

血小板製剤作製-血小板の塊-

宣言通り、更新しました。

いぇーい。

 

 

血小板作製で出現した次の問題、

「血小板の凝集塊が出てくる」

ということです。

 

凝集…塊…?

 

という感じすよね。

 

 もわもわしたこの塊のことです。

 

簡単に説明すると、普段は一つ一つ離れてふらふらしている血小板が、なにかの刺激をきっかけにギュとみんな集合してくっついて塊をつくった状態のことを凝集塊といいます。

3回遠心法にしてから、この凝集塊が顕著に出現するようになりました。

通常であれば時間を置けば消えるのですが、消えない製剤が多くなりました。 

 

この塊のある製剤は、輸血するときに邪魔な存在、危険な存在になるので使用はできません。

 

困った我々チーム血小板は、考えられることを列挙し、論文検索したり、血小板の凝集機序を調べたり、などなどそれはそれはもう…、血小板について調べまくる日々を送りました。

 

そして運がいいことに、血球数を測れる機械も新しく登場したので、元の血液の血小板数から、作成した血小板製剤の血小板数を測り、計算式を作り、「血小板回収率」を求められるようになりました。

計算苦手な私を助けてくれた元職場の技師さんに大感謝です。

 

この回収率の登場により、数字で評価できるようになったのでより作業は進みました。

 

そして出てきた主な考察は、

・遠心操作により血小板は活性化状態にいる

・活性化されている状態でさらに遠心をするからより活性化させてしまう

・赤血球保存液が血小板数に影響を与えている可能性がある

・製剤内の空気が血小板数に影響を与えている可能性がある

 

この一つ一つの可能性を確かめるために、比較検討実験をしてデータをとり、という作業を続けました。

 

凝集塊を形成させないために、血小板の回収率を上げるために、

遠心の強さや時間、遠心のブレーキの強さなど、実に細かく細かく条件を検討していきました。

 

なにがすごいって、これ、ガボン人が提案しているのがすごいですよね。

 

私は意見は出すけれども、細かい設定や案はチーム血小板の現地技師さんに提案させ、実行して、それの振り返りをして、さらなる条件の検討をする、という流れを定着化させました。

これを自然とするようになっていったのが、純粋にうれしかったです。

 

そして気付いたら、血小板凝集に関しては私の相棒イスマエルの方が詳しくなり、今は彼が血小板の学術担当のようになっています。ほんと凄い。

 

しかし残念ながら、「3回」遠心することが果たして血小板にどのくらいの悪影響を与えているのかということはどう頑張っても知ることはできません。

なぜなら、3回遠心法に関する論文や方法はどこを探しても無いからです。

 

一つの血小板製剤に入っている血小板数を多くしたといって、その血小板が機能を失っていたら意味がない。

 

でも、この国では機能を検査することはできない。

 

ということで、私は決めました。

 

 

 

一時帰国します!

 

 

 

えー!!!!って感じですよね。ほんと自分でもそうです。

 

 

一時帰国をして、輸血学会に出て青年海外協力隊の活動の発表し、会場にいる専門の先生方から意見を頂戴する。

これが目的です。

 

そして明日出国します。

 

この出国に向けてチーム血小板はさらなるデータ取りと考察を重ねに重ね、私がいない間もきちんと血小板製剤が作られるように技術を伝授し、今日を迎えました。

 

いや~、我ながらこのチーム凄い。

 

でもこの作業のせいで、そして施設長のパワハラのせい(そのうち書きます)で、荷造りをしていないという事態。

やばいですね。

 

ということで、いよいよ荷造りします笑

 

 

今回は写真が少なかったので、最後に相棒イスマエルとの日常の写真を。

いつもこんな感じで活動しています。

 

では、時間あったら次は日本で更新します!