ベナン旅行②-ガボンとの違い-
先週に引き続き、ベナンのお話。
どちらも同じアフリカだから大体同じようなものだろうと思っていましたが、そんなことはありませんでした。
まずは目で見て分かる違いから。
① バイク
ベナンに到着して少し歩いて気が付いたのは、バイクの多さ。
ベナンはバイクタクシーが多いらしく、車と同じくらいにバイクががんがん走っています。
ガボンではバイクはほぼ見ないので、新鮮な風景です。
ズラ―っとバイクが並んで走り信号待ちをしカーブを曲がっている様子は、なんだかアジアのどこかの国のような光景でした。
② 車
もう一つ気付いた違いは、車の種類。
ベナンの道路で見かける車は、古めのセダンや小さめの車たち。
一方、ガボンではランクルなどのSUV(大きい車)やベンツなどの高級車が主流。私の大好きなCX-5もよく見かけます。もちろん新型の車種も見かけます。
ここで思い出したのがこの話。
「ガボンのステータス」
ガボンに来たての頃に語学学校の先生から聞いた話なのですが、ここガボンは
「いい服を着て、綺麗な靴を履いて、大きい車に乗り、エアコンのガンガン聞いた部屋でパソコンの前に座って仕事をする(たとえパソコンの使い方を知らなくても)」
これがこの国のステータスだそうです。
そんな~って思っていましたが、1年も暮らすとこれがよく本当なのだと分かります。もちろんそうじゃない人も大勢いると思います。でも少なくとも、私のホストファミリーや職場の人はそういう印象です。
とくにホストファミリーはその通りで、豪邸に住み、お手伝いさんも運転手さんも警備員も雇っていて高級車に載ってハイヒールをかカツカツ鳴らして綺麗な恰好で仕事に行っているけれども、冷蔵庫の中は何も入っていない、食べるのは安い鶏肉とお米というスタイルでした。だからホームステイの3週間は、もう毎日が空腹で、朝食もパンがあればラッキー、バターが冷蔵庫に入っていたら天国かと思う多い日々でした。
↓ホームステイの夜ご飯。とにかくつらかった。
また、外観が超立派な病院でも中に入ると機材はない、水も流れないという施設もあるようです。私の職場輸血センターも、検査試薬はお金が無くて買えないのに、今は外観の改築工事をしています。
外見重視の国民性、これがガボンだと思っています。悪口ではありませんよ。
③ 服
外見と関連して、ベナンで見かけるベナン人は、アフリカ布(パーニュ)で作った服を着ている人がほとんどでした。とくに男性。
↓ 前回紹介した水上都市ガンビエのお宅訪問のときの写真。全員、カラフルなパーニュの服をきていますよね。
他にもパーニュを腰に巻いて結んでスカートにしている人なども大勢見かけました。
ではガボンはどうか、
ガボンでももちろんパーニュの服の人を見かけます。が、多いのはスーツやアイロンのかかったシャツに革靴、ワンピースやタイトスカートとハイヒールという洋服スタイルです。
↓大学病院でやった研修会のときの参加者たちの後ろ姿
では次は、外に出て歩いてみて感じた違い。
① ゴミ
まずは、ポイ捨てが少ない。
ガボンではもう、ほんとに、おいコラと言いたくなるくらいにポイポイとゴミをどこにでも捨てます。そこら辺の側溝や道路に空いた穴、砂浜や植木、どこでもゴミだらけです。車からポイっと飲み終えた缶を捨てたりもします。歩行者に危なすぎるから一回注意しました。
一方ベナンは見かけないわけではありませんが、圧倒的に少ない!特にペットポトルが落ちていません。
きっとポイ捨て習慣がガボン程ではないということもだと思いますが、ペットボトル等はお金になるそうなので捨てるにはもったいないという背景が大きいと思います。あとは、食べ歩きやポイ捨てするほどに物を買っていないようにも思えます。
そして、外の屋台で食べ物を買ってみて分かったのですが、ガボンでは外の屋台で買って持ち帰るとアルミホイルや発泡スチロールの容器に入れられます。
↓アルミホイルと紙に包まれた屋台飯のお持ち帰り(ガボン)
↓有名なタルタルソースのお店の持ち帰り(ガボン)
でもベナンでは、マイ皿を持っていくよう。
↓持っていった皿に盛ってもらいました(ベナン)
皿を持っていく人が多くなるからゴミも減る。エコですベナン。
② 治安
治安が良い!
もう本当にこんなにも安心して外を歩けたのは日本への一時帰国ぶりでした。JICAボランティアの犯罪被害がガボンに比べたら少ないようで、カバンも手に持って歩ける、スマホも外で出せる、身分証明書と貴重品を首から下げて服の中に隠さなくてもいい、夜も歩ける!
4日間の滞在でしたが、警察に止められ身分確認されることもなく、もちろん賄賂を要求されることもなく、夢かと思うほどに穏やかに過ごすことができました。
空港職員もみんな優しくて感動でした。
最後は家の環境の違いを紹介します。
ガボンのJICAボランティアは、私も含め、かなり恵まれた家に住まわせていただいています。治安がいいところを選ぶと必然的に高級住宅街になり、家も立派になる、電気ガス水道はもちろんあり、お湯も出る、家具付きが多いので洗濯機なども元からある、という感じで生活に大きいストレスを感じることはありません。
ではベナンはどうか。
申し訳なるくらいに違うようです。ベナンの場合は地方で活動する隊員が多いということもありますが、聞く限りかなり生活環境や食事事情が過酷です。水は濾過して使う、お湯なし、洗濯機なし、エアコンなしは当たり前だそうです。ただただ申し訳なくなります。
前回ご紹介した小学校教育で派遣されている高田さんは、シャワーが無いので貯めた水を外で浴びているそうです。他にも井戸水を汲んで生活している隊員さんもいるそうです。
そして食べ物も種類が少なく、とくにタンパク質が少ないので男性隊員は10㎏痩せるそうです。もはやこれは健康問題です。
アフリカにいるJICAボランティアと一括りにしても、国が違えば、全くと表現してもいいくらいに異なる環境で暮らし活動をしている。
そうすると悩む問題も、心の持ちようも、色んな物事が変わってくる。
生活環境はいかに精神衛生的に重要な要素、というかベースなのかと気づかされました。
他の国に行くことで良くも悪くも客観的にガボンを見ることができた、いい旅行となりました。
ちなみに、ガボンに帰国し、家に帰るために乗ったタクシーでありえない高額料金を運転手が請求し始め、「なんなんだよガボン!!!!」と早速日常のイライラ戦闘モードに戻り喧嘩して勝ち抜いた私でした。
最後に、他にもいろいろ気付いたことを箇条書きにして終えます。
・ベナンでは現地語が飛び交っていて言っていることが分からない
・ベナンの赤土の赤具合はより赤!
・人種差別用語に(本人に悪気があろうがなかろうが)、「シノアー(中国人)」の他にもベナンには「ヨボ(白人)」がある
・ベナンの方が家や店の塀が低め
・ベナン料理は辛い
・ベナンはガソリンが、瓶で売ってる(写真下)!!!!ガソリンスタンドもあるけど、こういう道端にある方が安いようです。でも、怖い…
来週からは、輸血センターの話に戻ります。